近頃、あちこちでサプリ疑惑が浮上している。ひとつはアガリクス問題。厚生労働省は「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」に発ガン促進作用があると公表した。また、アガリクス商品を売らんがために、根拠のないデータや嘘の体験談を載せた“バイブル本”を発行した、史輝出版の役員らが逮捕されている。
大豆イソフラボンの話題も、一般紙で取り上げられた。「特定保健用食品(通称トクホ)」に関しては、一日の摂取基準値を30mg以下とする、というものだ。根拠の一つは、閉経後の女性が摂取して子宮内膜症の発症が高くなったというイタリアのある大学の研究結果だという。
前者については「フキノトウやワラビに含まれる発ガン物質は問題視しないじゃないか」「塩やコーヒーだって発ガン作用があるだろう」と文句が出る。あるいは後者なら「日本で過剰摂取の健康被害は起きていない」「日本女性に更年期障害が少ないのは、大豆を食べているからだ」と異論が噴出する。
果たして、効くか効かないか、多いか少ないか、といったことを云々する科学的根拠に“正解”はあるのだろうか。もし「ある」として、それは誰の、どんな目的に対して答えているのか。がん患者にがんの完治を約束するためのものか、子宮内膜症で悩む女性を治療するためのものか。
サプリメントに、そうした目的はそぐわない。多くの素材には様々な機能があるが、それは「病気や症状」に向けられたものではない。体質や食習慣の異なる「人」に向かって働くものだ。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
鳥インフルエンザH5N1が人に感染したのは1997年の香港だった。
現在、WHO(世界保健機構)には少なくとも69人の死亡が報告されているが、さらに新型インフルエンザに変異して猛威を振るう可能性に脅かされている。かつて米国で、感染症に対する勝利宣言が行われた1967年から数えて30年、今昔の感がある。
厚生労働省は治療薬「タミフル」を頼みに2500万人分の備蓄を決めたというが、発症後48時間以内に服用しなければ効果は薄れるというから、早い対処が必要だ。中国ではタミフルの原料である香辛料の「八角」が飛ぶように売れているというが、10段階もの化学反応を経て合成されるため、八角ではなんの効果もない。念のため。
やはり頼みにすべきは、本来、人間に備わっている生体防御機能を日常生活の中でどう強化するか、だろう。
防御機能の最前線は、皮膚と粘膜だ。健康な鼻や口、喉の粘膜は、生体内への異物の進入を防ぐ。ビタミンAや亜鉛、セレンはこれらのバリア機能強化に欠かせない。そして二次防御システムは血液(白血球)の免疫力だ。侵入してきた異物を食べる食細胞や、攻撃型のキラー細胞、抗体を作るBリンパ球などが感染を阻む。このときビタミンCは、白血球の自走能(異物を処理するまでの能力)を高める。加えてタンパク質は抗体の材料にもなる大切な栄養素で、免疫システムを支える。
それでも引いたかな?と思ったら、オリーブ葉やエキナセア、ニンニク、アンドログラフィスなどのエキス類が初期症状にはたらく。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)
近頃はデトックス、つまり[解毒]という言葉が形容詞化して、サプリメントや食事、化粧品や健康法などを飾っている。なるほど環境汚染が進む現代、排気ガスや紫外線ばかりか、魚介や米、野菜などがもたらす有害金属の体内蓄積は見過ごせないレベルにある。厚生労働省がメカジキやマグロなどの魚介類の妊婦への摂取基準を出しているのも、胎児への水銀の影響を問題視しているからだ。また水銀は、加齢とともに蓄積され、その影響が強まるという。
水銀のほかに、カドミウム、ヒ素、アルミニウムなどがあるが、こうした有害ミネラルは、必須ミネラルと似た特性を持つため、必須ミネラルが本来果たすべき役割、例えば酵素活性や細胞の情報伝達といった機能を、競合して妨げるという弊害をもたらす。その結果、アトピー性皮膚炎や角化症、高血圧、骨粗鬆症といった身体症状が引き起こされるのだという。またうつや情緒不安定といった神経障害も、水銀や鉛が影響するというデータがある。
こうした背景から、足すだけの栄養学ではなく、排泄や浄化解毒をとりいれた“+(足す)と-(引く)の栄養学”が注目され始めたのである。
では引き算の手法はというと、キレーション療法やハーブ、マッサージ法など賑やかだが、基本はもともと備わっている解毒機能をいかにメンテナンスするか、だ。ミネラル水をしっかり取って尿を出す、便通を良くする、肝と腎の機能を保つ生活習慣に配慮する。加えて、有害ミネラル無害化の機能を持つセレンや亜鉛などのミネラルを含むベースサプリメントの補給だろう。
(後藤典子=NPO日本サプリメント協会代表理事)